金(ゴールド)投資の最もベーシックな手段とも言えるのが「投資信託」や「ETF」を通しての投資です。
とは言ってもこれらには多くの種類があり、いざ投資するとなっても選ぶのは一苦労でしょう。
ここではそんな数多ある金(ゴールド)への投資信託・ETFの中から、金融のプロが「自分が投資するならこれ」という商品を紹介します。
投資信託とETF(上場投資信託)の違いとは?
「投資信託」も「ETF(上場投資信託)」もゴールドへの投資手段の基本的な手段ではありますが、この2つには違いがあります。
まずはそれを理解した上で自分に合った商品を選びましょう。
投資信託とは
投資信託もETFも大きなカテゴリではどちらも「投資信託」に分類されますが、その違いは「上場しているかどうか」となります。
一般的に「投資信託」というと上場していない商品を指し、その特徴は
- 価格が1日1回しか動かない
- 証券会社だけでなく銀行でも購入することができる
ということになります。
ETF(上場投資信託)とは
一方でETF(上場投資信託)はその名のとおり、上場している投資信託ということになります。ここでいう「上場」とは株式などと同じように取引市場で買い手と売り手が売買できる状態になっているということです。
ETFの特徴としては上場による特徴がそのままであり
- 価格が(市場が開いている間は)常に変動する
- 証券会社でしか購入することができない
と、株式と同じような商品性になるということです
投資信託とETF、どちらでも基本的には変わらない
あくまでも両者の違いは「上場しているか否か」ということになるので、どちらが商品として優れているかということはありません。
コストの構造や運用方法なども基本的には同じとなりますが、次のような点を踏まえてどちらが向いているかを考えると良いでしょう。
- 基本的にはいつでも売買しやすく、信託報酬も低いものの多いETFを選ぶ
- 為替のリスクを取りたくない(為替ヘッジありを選びたい)場合は投資信託
- 銀行で購入したい(証券会社に口座を開きたくない)場合も投資信託
特に投資信託を選ぶ大きな理由は2つ目の「為替のヘッジをすることができる」という点になります。
また、投資先や信託報酬も様々なので、どちらのラインナップも確認した上で自分のイメージに近い商品を探しましょう。
投資信託・ETFを比較する4つのポイント
金(ゴールド)に関わらず、同じ投資対象に対する投資信託・ETFを比較する際に重要なポイントは3つあります。
金融のプロといえど、基本的にはこのポイントを比較し判断をしているだけです。
他の商品選びの基礎的なポイントにもなるのでぜひ覚えておきましょう。
信託報酬
まずは投資信託(ETF)のランニングコストとも言える「信託報酬」についてです。
こちらは金額に対する割合「%」で定められていますが、言わずもがな低ければ低い方が投資家にとっては良い商品といえます。
特にインデックス(何かの指標に連動して価格が動く商品)型の商品であればパフォーマンスはこの信託報酬率の差が直結することになります。
なお信託報酬は購入時や売却時に「支払う」という類の手数用ではなく日々の価格から自動的に差し引かれていますので「見えない手数料」とも言えます。
見えないだけに疎かに判断しがちですが信託報酬率によって差し引かれる金額が決まりますので最優先で確認するポイントです。
ここでももちろん「信託報酬は低ければ低い方が良い」という判断軸でおすすめしています。
投資対象
ここでは金(ゴールド)を投資対象にしたものについて解説していますが、金(ゴールド)と言っても実は様々です。
最もベーシックなのは「金地金価格」を投資対象にしたものですが、そのほかに金の先物価格(先物にもさらにいろいろあります)だったり「金関連の株式銘柄」といったものもあります。
特に初心者の方にとっては全て同じようなものに見えてしまうかもしれませんが、特殊な投資先の投資信託(ETF)を選んでしまうと純粋な金価格とは連動しないこともあります。
「金地金価格」に連動するものが優れているということではありませんが、ここでは純粋な金価格に連動してその恩恵を受けられるという意味で「金地金価格」に連動するものを推奨します。
為替ヘッジ
金の価格は世界共通なのでその価格は「ドル」をベースに取引されています。
しかし同時にそれは為替リスクを取ることになります。
つまり、金の価格が変わらなかったとしても円安になれば日本円から見た金の価格(投資信託・ETFの価格)は上昇しますし、円高になれば下落するということになります。
ポイントは、この為替の影響を受けないような仕組みを「為替ヘッジ」というのですが、この「為替ヘッジ」がついたものはETFではなく「投資信託」の方にしかないという点です。
為替のリスクを取るか否かは、それぞれの相場観(今後円安になると考えるのであれば為替ヘッジなし、円高になると考えるのであれば為替ヘッジあり)によりますが、とにかく「為替ヘッジを行いたい(為替リスクを取りたくない)場合はETFではなく投資信託」と考えていただければと思います。
買付手数料
最後は買付にかかる手数料ですが、これは商品ではなく証券会社によって定められます。
買付手数料は必ずゼロの証券会社を選びましょう。
今の時代、株式や投資信託・ETFの買付手数料は無料で買付できる証券会社がある一方で、証券会社によっては手数料がかかりますので取引すべき(買付手数料がゼロの)証券会社も最後に紹介します。
投資信託・ETF比較表
上記のポイントを踏まえて代表的なゴールド(金)の投資信託を比較してみます。
すべての商品を網羅するのはなかなか大変なので、ゴールド(金)投資信託・ETFの中からそれぞれ人気ランキング上位のものをピックアップしその中で各項目を比較しおすすめを選んでいきたいと思います。
ゴールド(金)投資信託
銘柄名 | 運用会社 | 対象指標(投資先) | 為替ヘッジ | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
ゴールド・ファンド (為替ヘッジなし) | 日興アセットマネジメント | 金地金価格 (ゴールドETF) | なし | 0.407% |
ゴールド・ファンド (為替ヘッジあり) | 日興アセットマネジメント | 金地金価格 (ゴールドETF) | あり | 0.407% |
Smart-i ゴールドファンド (為替ヘッジなし) | りそなアセットマネジメント | 金地金価格 (ゴールドETF) | なし | 0.375% |
Smart-i ゴールドファンド (為替ヘッジあり) | りそなアセットマネジメント | 金地金価格 (ゴールドETF) | あり | 0.375% |
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド (為替ヘッジなし) | ブラックロック | iシェアーズ ゴールド・トラスト | なし | 0.5085% |
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド (為替ヘッジあり) | ブラックロック | iシェアーズ ゴールド・トラスト | あり | 0.5085% |
これ以外にも多くのラインナップがありますが、ここでは信託報酬の低い人気シリーズをさらに比較しました。
結果、りそなアセットマネジメントが運用する「Smart-i ゴールドファンド」の信託報酬が最も低くおすすめです。
投資信託は基本的に「ゴールドのETFに投資をする」という形で間接的にゴールドへ投資しているものがほとんどですので「では最初からETFに投資をすれば?」と思うかもしれませんが、為替ヘッジがあるタイプの商品を選択できるメリットがあります。
「ゴールドには投資したいけど為替のリスクは取りたくない」という考えであれば、「Smart-i ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」を選べば純粋に金の価格のみの影響を享受することができます。
ゴールド(金)ETF
銘柄名 | 運用会社 | 対象指標(投資先) | 為替ヘッジ | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
SPDR ゴールドシェア 【1326】 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ | 金地金価格(ロンドン) | なし | 0.40% |
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 【1328】 | 野村アセットマネジメント | 1gあたり金価格(日本円) | なし | 0.55% |
WISDOMETREE 金上場投資信託 【1672】 | ウィズダムツリー | 金地金価格(ロンドン) | なし | 0.39% |
iシェアーズ ゴールド・トラスト (米国上場) 【IAU】 | ブラックロック | 金地金価格(ロンドン) | なし | 0.25% |
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト (米国上場) 【GLDM】 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ | 金地金価格(ロンドン) | なし | 0.10% |
ETFでは単純に信託報酬の最も低い「SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト」がおすすめです。
こちらは米国(ニューヨーク市場)に上場しているので外国株式を購入するのと同様になりますが、一部の証券会社では外国ETFおよび為替手数料も無料で取引が可能ですので、余計にコストがかかるということもありません。
どのETFでも結局は為替リスクは取ることになるので、最初から米国上場の信託報酬の低いETFを選べば最も低コストでゴールド(金)投資が可能になります。
ゴールド(金)投資信託・ETFを買うならこの証券会社
さて、最後に投資信託・ETFを購入する証券会社について紹介をしておきます。
途中でも何度か解説しましたが、証券会社を選ぶポイントは以下のとおりです。
- 投資信託(ETF)の買付手数料が無料
- 商品のラインナップが豊富
- 為替手数料が無料
なお、銀行では投資信託の購入はできますが、商品のラインアップは証券会社ほど多くなく、ETFの購入はできません。
したがって基本的には投資信託もETFも幅広い選択肢があり、手数料も低い証券会社で口座を開設することがおすすめめです。
楽天証券
言わずと知れた楽天グループの証券会社である楽天証券は、ネット証券でもSBI証券と並び手数料、商品ラインナップで他の会社を圧倒する業界のリーディングカンパニーです。
投資信託の手数料無料はもちろん、先ほど紹介したすべてのゴールド(金)投資商品をはじめ、「純金積立」という別の金の投資手段も揃えています。
また、楽天証券特有のメリットとしてはなんと言っても他の楽天グループ会社とのシナジー効果です。
楽天証券で取引をしていれば楽天市場での買い物でもらえるポイントが増えたり、楽天銀行との連携で金利が上がったり保有している投資信託に応じてポイントもらえたりと、楽天は「使えば使うほど楽天内での利用がお得になる」という仕組みを作り上げています。
他の楽天のサービスを使っていればぜひゴールド(金)投資も楽天証券の利用がおすすめです。
SBI証券
SBI証券も楽天証券と良いライバル関係を持ちながら業界を牽引するネット証券の雄です。
こちらも商品数や手数料では常に楽天証券と同じ水準で提供をしているため低いコストで幅広い投資が可能になっています。
手数料や商品の面では楽天証券と全く互角ですが、SBI証券の特徴は提携先が「Vポイント」であるためご自身がメインで貯めているポイントがVポイントであったり、三井住友銀行や住信SBIネット銀行をメインの銀行として使っている方であれば相性が良い証券会社といえるでしょう。
なお、SBI証券も楽天証券と同じく「純金積立」という別の金の投資手段を揃えています。
結論:プロが勧めるゴールド(金)投資信託・ETF
というわけで、結論はゴールド(金)に投資するのであれば以下のように選ぶのがおすすめです。
①基本的には最も信託報酬の低いETF「SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト」がおすすめ
②為替のリスクを取りたくない場合は投資信託「Smart-i ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」がおすすめ
③証券会社は楽天証券かSBI証券で取引する
なお楽天証券とSBI証券については「純金積立」のサービスにも定評があります。別の記事で純金積立のサービス比較も詳しく行なっているのでぜひご覧ください。