近年の金価格の上昇に伴い、投資信託やETFを通しての金投資だけでなく実物資産を通して金を保有する動きが広まっています。
とりわけ「金貨」は昔からメジャーな金の投資方法で、今でもファンが多く根強い人気があります。
ここではそんな金貨投資をこれから始めようと思う初心者の方向けにどこで金貨を買うのがおすすめか、投資のプロが解説いたします。
金貨の種類は大きく2つ
まず金貨の基礎知識として、金貨には、主に以下の2つの種類があります。
それぞれの特徴を理解することで、自分に合った金貨を選びやすくなります。
地金型金貨
地金型金貨は、投資目的で購入されることが多い金貨です。これらは純度が高く流通量も多いため、金の市場価格に連動した価値を持ちます。
「地金型金貨」の特徴
- 純金または純度の高い金で作られている
- 世界中で流通しており、売買が容易
- 装飾性よりも価値保全が重視される
「地金型金貨」の代表
- メイプルリーフ金貨(カナダ):カナダが発行する純金の金貨で、純度99.99%(24K)を誇ります。デザインも美しく、投資家とコレクターの両方に人気です。「世界三大金貨」として世界で最も流通している地金型金貨です。
- ウィーン金貨(オーストリア):「世界3大金貨」と言われ、純度99.99%(24K)の、金価格との連動性の高い金貨です。
- カンガルー金貨(オーストラリア):かつてはナゲット金貨と呼ばれ、毎年変わるカンガルーのデザインからコレクターにも人気の純度99.99%(24K)の金貨です。「世界三大金貨」の一つでもあります。
- クルーガーランド金貨(南アフリカ共和国):南アフリカ共和国が発行する地金型金貨で、世界初の投資用金貨として知られています。純度は91.67%(22K)で、丈夫で取引が容易です。
- パンダ金貨(中国):中国が発行する金貨で純度は99.99%(24K)です。デザインが毎年変更されるため、コレクション性も高い金貨として知られています。
収集型金貨
収集型金貨は、デザインや希少性が特徴で、コレクターに人気です。これらは特定のイベントや記念日を記念して発行されることも多く、地金型金貨よりもプレミアムが高くなる場合があります。
「収集型金貨」の特徴
- デザイン性が高い
- 限定発行で希少価値が高い
- 市場価格に加え、収集家の需要によりプレミアムがつく
「収集型金貨」の代表
- インディアン金貨:インディアン金貨は20世紀初頭にアメリカ合衆国で発行された純度90%(K21.6)の金貨で、10ドル(1/2オンス)、5ドル(1/4オンス)、2.5ドル(1/8オンス)の3種類があります。
- ナポレオン金貨:フランスで19世紀初頭から20世紀初頭にかけて鋳造され、純度はどれも90%(K21.6)ですが、5フラン、10フラン、20フラン、40フラン、50フラン、100フラン金貨などによってそれぞれプレミアムが異なります。
初心者には「金地金型金貨」がおすすめ
上記で紹介した金貨のうち初心者、特に「金投資(金の価格に投資する)」という目的においては「地金型金貨」がおすすめです。
金の純度が高いため金の価格連動性が高いことと、流通量が多いためプレミア分のコストがあまり乗らないため取得コストが低くなりやすい(利益が出やすい)ためです。
なかでも流通量の多い「世界三大金貨(メイプルリーフ金貨、ウィーン金貨、カンガルー金貨)」から始めるのが無難といえます。
逆にいうと「収集型金貨」は金の価格にプラスされるプレミアムを見定めてレア度や入手難易度、今後の値上がりについて深い知識と見解がなければなかなかプロに勝つのは難しい投資です。
それでも「収集型金貨」にチャレンジしたい場合はまずは少額のコインから試してみると良いでしょう。
金貨購入のおすすめ場所
ここからが本題ですが、金貨を投資として購入する場合はその購入場所が非常に重要です。
投資が「購入価格と売却価格の差」である以上、購入価格をより下げて入手できる購入場所選びは投資としてのパフォーマンスに直結するからです。
ここでは主な金貨の購入方法を比較し、それぞれにおすすめの場所(方法)について確認します。
購入場所(方法) | 価格 | 安全性 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
貴金属店(田中貴金属など) | 安い | 高い | 安全かつ安く購入 |
百貨店 | 高い | 高い | 少額で安全に購入 |
コイン専門店 | 高い | 高い | レア度の高い収集型金貨を探す |
ネット店舗(楽天・Amazonなど) | 普通 | 普通 | 手軽に購入 |
ネット個人(メルカリ・ebayなど) | 普通 | とても低い | リスクをとって掘り出し物を見つける |
地金型金貨なら貴金属店での購入がおすすめ
メジャーな金貨(ウィーン金貨、メイプルリーフ金貨など)であれば貴金属店が最も低コストかつ安全に購入することができる場所となります。
ただしこれらの貴金属店での購入には口座開設が必要なため少し手間はかかります。(口座開設は無料)
また、少額の購入には購入代金に加えて手数料が発生しますので注意が必要ですが、それを踏まえても最も低コストで購入できる可能性が高いのでコスト重視であればまずは貴金属店での購入を検討しましょう。
コイン専門店は「収集型金貨」の購入時に検討
一方でレア度の高い「収集型金貨」は貴金属店には取り扱いがない場合が多いため、コイン専門店を利用する必要があります。専門店にも実店舗のあるものとネット専門の店舗があるため自分が買いたいコインがどこに売っていて、ネットで判断できるものか、実物を見る必要があるかなどで判断をしましょう。
貴金属店 vs ネット店舗:価格比較表
金地金型金貨の購入に当たっては貴金属店またはネットでの購入がおすすめですが、どのくらいの価格の違いがあるでしょうか?
実際に店舗別に価格を比較してみます。
販売店 | K24金貨価格 (1/10オンス) ※1/5時点 | その他手数料 | 実質価格 |
---|---|---|---|
田中貴金属 | ¥52,520 | ¥2,200 | ¥54,720 |
三菱マテリアル | ¥52,511 | ¥1,650 | ¥54,161 |
日本マテリアル | ¥54,770 | ¥2,000 | ¥56,770 |
楽天(ビジュー金銀プラチナ) | ¥62,127 | なし | ¥62,127 |
楽天(野口コイン) | ¥67,040 | なし | ¥67,040 |
楽天(金銀の貯金箱) | ¥72,870 | なし | ¥72,870 |
田中貴金属か三菱マテリアルでの金貨購入がおすすめ
比較してみると、貴金属店の中でも大手の田中貴金属・三菱マテリアルが特にネットと比べても安く金貨を購入できることがわかります。
貴金属店では手数料が発生する点、ネット(楽天)では送料も無料でこのほかにポイントバックもあるという点を踏まえても田中貴金属・三菱マテリアルの方にコスト面で軍配が上がるということがわかります。
金貨投資はまず「何を買うか」を決める
金貨投資を始める際は「どこで買うか」よりも先に「何を買うか」を決める必要があります。
特に初心者には「地金型金貨」である
・メイプルリーフ金貨
・ウィーン金貨
・カンガルー金貨
あたりから初めてみるのがおすすめです。
これらの金貨は流通量が多いので専門店でなくても手に入ります。
また、貴金属店の価格がネットに比べて安いというのは意外な方も多いかもしれません。
口座開設などの手続きは少し手間かもしれませんが、この機会に貴金属店へ直接行ってみるのも良いでしょう。
ぜひこの機会に金貨投資を検討してみてはいかがでしょうか?